人工林間伐施業に新たな動きー細見谷渓畔林域

 2017年8月24日、西中国山地国定公園内の細見谷渓畔林域(廿日市市吉和)の人工林の間伐をどのように進めるかという点について、広島森林管理署から意見を聞きたいとの申し出が有り、広島森林管理署署長、総括森林整備官、主任森林整備官の3名と会見しました。
 この場では今後の森林施業に関しても意見は述べておきましたが、今回は人工林の複層林化が主なテーマです。
 細見谷渓畔林域は林道問題を通してその希少性、貴重さに鑑みて、従来型の間伐施業を見直し細見谷の生物多様性の維持と生物生産性の向上をはかるという視点で計画を作りたいとのことです。
そのために、いくつかの基本的考え方を提示しておきました。

1.河畔の人工林は時間を掛けて強間伐し、斜面の崩落を防ぐとともに河川生態系の多様性を回復すること。
 砂防、治山ダムもできる限り撤去ないしはスリット化を進める(ただし細見谷周辺にはそれほど多くはない)
2.間伐に際して開設する作業道は中腹に1本だけに限定し、沢を跨ぐことはしない。これまでの小林班単位の施業ではなく、沢と沢にはさまれた
小面積を作業単位とする。
3.渓畔林周辺は切り捨て間伐とし、材の搬出はしない。さらに渓畔林上部の人工林も間伐材は斜面上方へ搬出し、既設の林道を利用する。
4.中腹の間伐材は表土層を痛めないような施業をおこなう。間伐の方法は列状間伐(1列だけ間伐しその列の間隔は3-5列で帯状間伐はしない)
かその応用となる可能性有り。列状間伐は斜面に沿って鉛直方向に行うが、所々、斜面水平方向にも切り捨て間伐をして表土層の流亡を防ぐ。
5.強間伐跡地はできるだけ埋土種子からの実生から再生を計るものとし、植林による移入はしない。
などが主な内容です。
 基本的に沢筋を破壊しない方法をきめ細かく配慮して行うことが計画の基本となりそうです。こうした施業の結果、どのように多様性が回復するかは追跡調査が必要となるでしょう。

 ただ、問題はこうした計画をもとに入札をしたとして、これに答えられる技術を持つ業者がいるかどうかです。

 ちなみに、このたびの事業計画では地域での天然林には手をつけないこととし、今後もここでの皆伐はなさそうです。

 西中国山地国定公園の特別保護地区(ツキノワグマのサンクチュアリー)への指定へ一歩前進かも知れません。