日本列島には亜熱帯から亜寒帯までの森林帯が存在し、それらには河口から高山にいたるまで、実に多様な森林生態系が存在している。このような多様性に富む自然を背景として私たちの地域文化は育まれてきたのである。

 

しかし、かつて豊かだった森林生態系は各地で回復不能な状態まで破壊され、今まさに消滅しようとしている。

 

戦後復興のかけ声のもと、落葉広葉樹林を中心とする天然林の多くが大面積皆伐・拡大造林策によって失われ、その後も今日に至るまでスーパー林道に始まる大規模林道開発、ダム開発、砂防堰堤の設置によって森林生態系やそれに連なる河川生態系も壊滅的な打撃を受けている。

 

 特に北海道・東北地方や沖縄県における過剰なまでの林道建設や違法とも思える皆伐などで貴重な生物ストックとしての天然林は回復不能なまでに破壊され、現場は文化国家の事業とは思えない惨状を呈している。このような自然の破壊は、地域文化・地域社会の破壊であり、精神文化の破壊、人間破壊に他ならない。

 

 たとえば、北海道の大雪山国立公園では、特別地域であっても、人工林、天然林ともに

有林としての通常の施業が行われ、施業においては生物多様性保全のための調査や方策は

とんど皆無であり、森林が木材としてのみ評価され、木材生産の効率性のみが追及されて

る。

 このため、短期伐採が繰り返され、大雪山国立公園内の森はすかすかでありクマゲラ、シ

マフクロウなど希少動植物の生息基盤が消失しつつある。

  また林床はブルで荒らされ、再生を担う埋土種子集団は表土ともに流失し、土砂は河川を汚濁して、河川生態系も壊滅的な被害を受けている

さらに、衆人の監視がないことを貴貨として、計画の4倍を超える違法伐採がなされ林野庁にはそれをチェックする体制がないという問題がある。

 

  また、沖縄県やんばるの森では、網の目のよな林道建設と5ヘクタール規模の皆伐が繰り返されてきた結果、固有種に富むやんばるの基盤となるオキナワウラジロガシは姿を消しつつある。またノグチゲラが暮らすイタジイの森も齢の多様性を失い、営巣可能な胸高直径20cmを超える古木も現象の一途をたどっている。

 さらに森林の乾燥化はもう一つの問題を生んでいる。湿潤で鬱蒼とした森林内を生活の場としてきた固有種は生息場所を失う一方で、乾燥した明るい草原、畑地、疎林を好む外来種のマングースの生息地を創出しているということである。こうした観点に立てば、マングースの捕獲政策はやんばる固有種の保全策としては実効性に欠けるといわざるを得ない。